施工要領
1概要
以下の要項は、「テクヒーター」を現場で切って施工する際の、絶縁封止やその検査に適用されます。
必ずよくお読みいただいた後に、確実な施工・検査を行ってください。
2作業手順
一般的な「テクヒーター」の作業手順は以下の通りです。
- 「テクヒーター」の切断
- 対象箇所の長さに対し、多少の余裕をもって切断する。
- 切断部の絶縁封止
- 「テクヒーター」端末部、「テクヒーター」の電源コード接続部を専用キットを用いて絶縁封止する。
- メガーテスト
- 500Vメガーで100MΩ以上の絶縁抵抗があるかどうかチェックする。
3絶縁封止処理
絶縁封止処理手順動画
用意するもの
使用工具
- 圧着ペンチ×1
- ワイヤーストリッパー×1
- ラジオペンチ×1
- ニッパー×1
- カッター×1
- はさみ×1
- ヒートガン×1
- ディスポカップ×2
- マドラー×2
- マーカー×1
- Cクランプ×4程度
- 定規×1
- 軍手×1
絶縁封止キット(別売「テクヒーター」専用部品)
「テクヒーター」専用部品として以下の絶縁封止キットがあります。
- ・ヒーター端末部用(ヒーター終端部品 ケース×1、フタ×1 / シーリング材 A・B)
- ・電源コード接続部用(電源コード接続部品 ケース×1、フタ×1 / シーリング材 A・B / 熱収縮チューブ×3 / 圧着接続端子×3)
検査用測定器
- ・絶縁抵抗計(500V DCメガー:100MΩまで測定可能なもの)×1
- ・電極棒×1
ヒーター端末部
絶縁封止キット内容
ヒーター終端部品(ケース×1ケ・フタ×1ケ)
絶縁用シーリング材(A・B液)
絶縁処理手順
①「テクヒーター」の外装被覆及び編組シールドを10mm切断します。

②「テクヒーター」をヒーター終端部品ケースに20mm挿入します。

- ※本工程で左写真のようなケガキ線をいれておくと、ヒーター終端部品ケースからヒーターが飛び出していないかを確認することが容易になります。
③ヒーター終端部品ケースに2液混合をしたシーリング材を注入します。

- ※シーリング材のA液とB液の混合比率は50:50です。よくかき混ぜてから注入してください。
- ※シーリング材の注入不足は絶縁不良の原因となりますので、十分な注入をしてください。
④ヒーター終端部品のフタをケースに被せ、しっかりと固定します。

- ※硬化目安時間は30分です。
- ※硬化中はシーリング材が発熱しますのでご注意ください。
- ※ヒーター終端部品のケースとフタの浮き上がりが無いかご確認ください。
- ※ケガキ線が所定位置にあることを確認し、「テクヒーター」がヒーター終端部品ケースから抜けてきていたり、ズレていないかご確認ください。
※絶縁処理部を30分程度水没させてからメガーチェックをし、正しく絶縁処理がされているか確認してください。
電源コード接続部
絶縁封止キット内容
電源コード接続部品(ケース×1ケ・フタ×1ケ)
絶縁用シーリング材(A・B液)
熱収縮チューブ ×3本
圧着接続端子 ×3個
絶縁処理手順
①電源コード及び、「テクヒーター」の接続箇所を以下の図のように加工します。


②ヒーターと電源コードの3本の線を、圧着接続端子と熱収縮チューブを用いて接続し、電源コード接続ケースに入れます。

- ※本工程でケガキ線をいれておくと、ケースからヒーターや電源ケーブルが飛び出していないかを確認することが容易になります。
- ※アース線はケースに対し下側になるようにセットしてください。
- ※熱収縮チューブはヒーターの内部被覆に被せてください。
③電源コード接続部品ケースに、2液混合をしたシーリング材を注入します。

- ※シーリング材のA液とB液の混合比率は50:50です。よくかき混ぜてから注入してください。
- ※シーリング材の注入不足は絶縁不良の原因となりますので、十分な注入をしてください。
④電源コード接続部品のフタをケースに被せ、しっかりと固定します。

- ※硬化目安時間は30分です。
- ※硬化中はシーリング材が発熱しますのでご注意ください。
- ※電源コード接続部品のケースとフタの浮き上がりが無いかご確認ください。
- ※ケガキ線が所定位置にあることを確認し、「テクヒーター」や電源コードが電源コード接続部品ケースから抜けてきていたり、ズレていないかご確認ください。
※絶縁処理部を30分程度水没させてからメガーチェックをし、正しく絶縁処理がされているか確認してください。
4取扱い注意事項
「テクヒーター」は外装被覆の損傷防止に特に留意してください。被覆の損傷は、絶縁抵抗値の低下や漏電事故につながる恐れがあります。
メガーチェックで異常が発見された場合は損傷による絶縁不良個所を除去し、新しいヒーターに交換してください。
- 地面に引きずらないでください。
- 設置箇所に被覆を損傷させるようなバリや鋭利な物がないことを確認してください。
- 安全靴などで踏みつけないでください。
- 重量物などをヒーターの上に載せないでください。
- ヒーターを強く引っ張ったり、無理な力を加えないように注意してください。
- 最小曲げRは規定値に従って施工してください。
- 敷設したヒーター上には他の発熱体や金属類を設置しないでください。
- 保温材の浸水防止処理を行ってください。(保温効果維持、絶縁抵抗劣化防止の観点)
- 医療用途には使用しないでください。
- 加工後、抵抗計で機器の電気抵抗をご確認ください。
最大ヒーター仕様長(m)
品番 | 電源投入時(℃) ※スタートアップ時外気温度 |
ブレーカーサイズ 100V | ブレーカーサイズ 200V | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
10A | 15A | 20A | 10A | 15A | 20A | ||
T6-10 | 10℃ | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 |
0℃ | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | |
-10℃ | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | |
-20℃ | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | |
-30℃ | 47 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | |
-40℃ | 46 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | |
T6-20 | 10℃ | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 |
0℃ | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | |
-10℃ | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | |
-20℃ | 45 | 50 | 50 | 47 | 50 | 50 | |
-30℃ | 40 | 50 | 50 | 43 | 50 | 50 | |
-40℃ | 38 | 50 | 50 | 40 | 50 | 50 | |
T6-30 | 10℃ | 35 | 50 | 50 | 45 | 50 | 50 |
0℃ | 31 | 46 | 50 | 41 | 50 | 50 | |
-10℃ | 28 | 42 | 50 | 38 | 50 | 50 | |
-20℃ | 27 | 40 | 50 | 34 | 50 | 50 | |
-30℃ | 25 | 38 | 50 | 31 | 46 | 50 | |
-40℃ | 20 | 37 | 50 | 29 | 44 | 50 | |
T9-20 | 10℃ | 47 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 |
0℃ | 47 | 50 | 50 | 45 | 50 | 50 | |
-10℃ | 47 | 50 | 50 | 41 | 50 | 50 | |
-20℃ | 47 | 50 | 50 | 37 | 50 | 50 | |
-30℃ | 47 | 50 | 50 | 33 | 49 | 50 | |
-40℃ | 47 | 50 | 50 | 32 | 46 | 50 | |
T9-30 | 10℃ | 32 | 48 | 50 | 34 | 50 | 50 |
0℃ | 32 | 48 | 50 | 32 | 46 | 50 | |
-10℃ | 32 | 48 | 50 | 27 | 41 | 50 | |
-20℃ | 32 | 48 | 50 | 26 | 39 | 50 | |
-30℃ | 32 | 48 | 50 | 24 | 36 | 48 | |
-40℃ | 50 | 50 | 50 | 22 | 34 | 45 |
放散熱量の計算
配管の放散熱量の計算
設計の際は次の点を明確にしてください。
- ①予想される最低外気温度
- ②配管のサイズ
- ③断熱材の材質と厚み
- ④保持温度
ヒーター発熱量が放散熱量以上であれば、想定温度の保持が可能です。
パイプから外気への放散熱量Qは式(1.1)で表されます。
- Q=配管表面からの放散熱量
- θ1:保持温度[℃]
- θ2:外気温度[℃]
- De:断熱材外径[m]
- Di:配管外径[m]
- λ:断熱材の熱伝導率[W/m・K]
- hse:断熱材から外気への熱伝達率[W/m2・K]

計算例
- ・保持温度:25℃
- ・外気温度:-20℃
- ・配管外径(80A):0.0891m
- ・断熱材と厚み:グラスウール0.02m(0.027W/m・K)
の条件において配管から逃げる放散熱量を計算します。
式(1.1)に上記条件を代入すると、
よって配管1m辺り18.0Wの放散熱量があると考えられます。
安全率1.3を乗じて23.4W[ W/m]
ヒーターから供給すべき熱量は配管1m辺り23.4Wとなります。
テクヒーターは周囲温度によって自己出力を制御します。
この計算例では保持温度が25℃となっているため、25℃時の熱量を調べます(別表)
テクヒーター(T6-10)の25℃での熱量は14.3[W/m]となりますので、
配管1m辺り23.5Wの熱量を供給するための必要ヒーター長さは
23.4÷14.3=1.64≒1.7[m]
配管1m辺り1.7mの割合で施工することとなります。